本文
私たちは、ペンが書いていくにつれて考える。「考える」とは、音声にならない言葉をひとりごとのように口の中で言うことだ。その言葉をペン書きとめる。書きとめた言葉がさらに次の思考を呼ぶ。これが文章表現の「現場」だ。
文章を書いた経験をふりかえれば、だれでも思いあたることだが、書き上げた文章は必ず、自分がはじめに漠然と①予感していた内容とは違ったものになっている。心の闇に一つ二つで危うく連れなって光っていた言葉が漠然と象徴していた内容と、複雑な思考を経て言葉の秩序によって組織され他人にも理解されるようになった文章との違いが、そう感じさせるのだ。
私たちは自分の考えたことを文章に表現しようとすることによって、実際には、考えていた以上のことをその表現された文章の内に発見する。これが文章表現における発見である。書かれた内容(世界)についての発見と、それが自分の中から出てくるという驚き。文章を書くということは、言葉によって世界を知ることと、自分を知るという二つの驚きを同時に経験することでもある。
(棚田卓夫、清水良典、服部左右一、松川由博編『高校生のための文章読本』による)
(注)おぼろげな:はっきりしない
文章を書いた経験をふりかえれば、だれでも思いあたることだが、書き上げた文章は必ず、自分がはじめに漠然と①予感していた内容とは違ったものになっている。心の闇に一つ二つで危うく連れなって光っていた言葉が漠然と象徴していた内容と、複雑な思考を経て言葉の秩序によって組織され他人にも理解されるようになった文章との違いが、そう感じさせるのだ。
私たちは自分の考えたことを文章に表現しようとすることによって、実際には、考えていた以上のことをその表現された文章の内に発見する。これが文章表現における発見である。書かれた内容(世界)についての発見と、それが自分の中から出てくるという驚き。文章を書くということは、言葉によって世界を知ることと、自分を知るという二つの驚きを同時に経験することでもある。
(棚田卓夫、清水良典、服部左右一、松川由博編『高校生のための文章読本』による)
(注)おぼろげな:はっきりしない
| 単語 | よみがな | 意味 | 品詞 |
|---|---|---|---|
| 漠然 | ばくぜん | vague, obscure | adverb |
| 秩序 | ちつじょ | order, discipline | 名詞 |
| 予感 | よかん | premonition, presentiment | 名詞 |
問題
問 56ここでの①混迷とはどのような状態か。
問 57書き上げた文章が②予感していた内容とは違ったものになっているのはなぜか。
問 58文章を書くことについて筆者はどのように述べているか。