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長文N3

スマートフォンと現代人の記憶力

本文

 スマートフォンが普及してから、私たちの日常生活は大きく変わった。地図を覚えなくてもナビアプリが道案内をしてくれる。計算が苦手でも電卓アプリがすぐに答えを出してくれる。友人の誕生日も、アプリが自動的に知らせてくれる。こうした便利な機能のおかげで、私たちは多くのことを「覚えなくてよい」環境の中で生活するようになった。
 しかし、この状況を手放しで喜ぶことはできない。認知科学の研究によれば、人間の記憶力は使わなければ衰えていくという。筋肉と同じように、脳も繰り返し使うことで機能を維持できるのだ。情報を外部の機器に任せすぎることで、私たちは自分自身の記憶力を鍛える機会を知らず知らずのうちに失っているかもしれない。
 一方で、スマートフォンによる「記憶の外部化」を肯定的に捉える意見もある。人間の脳はもともと記憶の容量に限りがある。細かい情報を機器に任せることで、脳はより創造的な思考や、複雑な問題を解決することに集中できるという考え方だ。実際に、メモや本といった道具を使って記憶を補助することは、人類が長い歴史の中で行ってきたことでもある。
 問題の本質は、スマートフォンを使うこと自体にあるのではなく、その使い方にあるのではないだろうか。たとえば、目的地への行き方をナビに頼る前に、まず自分で地図を確認して考えてみる。計算も、簡単なものは暗算で試みる。そういった小さな習慣の積み重ねが、記憶力の低下を防ぐことにつながるだろう。
 テクノロジーは私たちの生活を豊かにするための道具である。大切なのは、道具に使われるのではなく、道具を上手に使いこなす意識を持ち続けることだ。

問題

1筆者がスマートフォンの普及について述べていることとして、最も適切なものはどれか。

2「記憶の外部化」を肯定する立場の主な理由は何か。

3この文章で筆者が最も言いたいことは何か。